看護師のyukinoです。
以前、病院と施設での看取りの違いについてお伝えしました。
老健での看取りってどんなの?病院との違いは?
記事を書いていて、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと考えている方も多くいるのでは?と思い、訪問看護師がどのように関わっているのかについて疑問を持ちました。
そこで、訪問看護師が在宅での看取りをどのようにしているのかについて、調べてみたのでお伝えしていきます。
どういう患者さんを在宅で看取るの?
日本では、医療機関で亡くなる人と、自宅で亡くなる人ではどちらが多いかご存知ですか?
答えは、約8割(平成16年のデータ)が医療機関で亡くなっているのです。
病院で勤務していると、終末期の患者さんで「家に帰りたい」「死ぬなら住み慣れた家がいい…」と言っている人っていますよね。
希望をかなえてあげたいとは思いますが、家族の協力がなければ難しいことです。
在宅での療養や看取りを家族が困難だと感じる理由はいくつかあります。
まず、介護者となる家族に負担がかかることです。
高齢化社会ですからね。
老々介護になる可能性も高いわけです。
それに、終末期ともなれば、本当に24時間目が離せない状況ですよね。
訪問看護、介護が介入しても、家族への負担が大きなものになることが想像できます。
次に、状態が変化・急変した場合の対応に不安があることも、在宅での療養・看取りが困難である理由のようです。
そりゃそうですよね。
家族が自宅で急変した時の対応なんて、冷静にできないでしょう。
不安を感じるのは仕方がないことです。
じゃあ、どういう場合に在宅で看取りができるの?
在宅での看取りって大変そう…メリットは?
私が考える在宅でのメリットは、住み慣れた自宅で過ごす時間があることです。
自宅って、いろんな思い出がりますよね。
私自身、今住んでいる家は2年ほどしか住んでませんが、子供が生まれたり、家族と楽しく話をしたり、喧嘩したり、友達が来たり、とてもたくさんの思い出があります。
その自分が過ごしてきた空間で最期を迎えられるのは、人生を振り返るのにいい時間だと思います。
また、病院にいるよりもリラックスできますよね。
自分らしくいられそうです。
では、どうすれば自宅で最期の時間を迎えられるのでしょうか。
1番優先されるのは、患者さん自身が「最期は住み慣れた家で迎えたい」という強い意志です。
そして、その患者さん自身の意思を家族が受け止め、「家で最期を迎えさせてあげたい」と覚悟した場合に、在宅での看取りへの準備が始まります。
この時に、患者さん本人や家族とのコミュニケーションを密にとる必要があります。
理由としては、死に対して、人によって考え方が異なりますし、患者さん本人も、家族も、身近な人の死を目前にしており、精神状態はとても不安定です。
なので、患者さん・家族の意見が変わることはよくあることなので、医療者として慎重に関わる必要があるんです。
在宅医療に切り替えるために必要な準備として、
②看取り・在宅医療について家族へ理解してもらう
③介護保険サービスの紹介
などがあります。
かかりつけ医は、24時間対応できるようにする必要があります。
看取りや在宅医療についての説明を行い、同意を得ることも大切です。
先ほども言いましたが、患者さんも家族も精神状態は不安定の可能性があります。
コミュニケーションをしっかりと取り、患者さん・家族の意向や理解度をしっかりと確認することも必要ですね。
介護保険サービスは、患者さんの状態や時期を見て、必要なサービスを導入するといいようです。
最期は自宅でという想いは尊重したいことよね。
自宅で最期の時間を過ごすためには、しっかりと準備も必要ね。
訪問看護師としてできることは?
訪問看護師として、患者さんや家族にどのように関わっていくかは、基本的に病院と同様です。
具体的には、身体的・精神的に観察し、関わり、医療的な処置が必要であれば行います。
身体的には、バイタルサインの観察を行うのはもちろん、排泄管理や食事量などについても確認します。
食事がとれていないようであれば、摂取できるものの指導や少量で高カロリー摂取できるものの紹介などを行います。
排泄に関しても、水分を促す・腹部マッサージ・摘便などを行ったり、主治医へ依頼し便秘薬の処方をしてもらうのも方法の一つですね。
あとは、身体的苦痛の緩和も重要な看護です。
呼吸苦、疼痛、発熱、倦怠感などの訴えがあれば、少しでも安楽に過ごせるよう対処が必要です。
ポジショニングで何とかなるのか、苦痛の度合いはどうかによって、主治医への報告・相談を行います。
また、環境整備も必要ですね。
次に、精神的に看護として関わる場合は、人権・プライバシーを尊重し、コミュニケーションを重視します。
患者さんや家族の話を傾聴し、受容する姿勢で関わることが大切です。
まさに、患者さん・家族に寄り添った看護ができそうですね。
最後に、医療的な処置ですが、患者さんによって点滴を行う方もいます。
医師の指示の元、患者さんに点滴を行いますが、1回の訪問時間は30分~1時間程度です。
それまでに終わらない場合もあります。
そういう場合は、抜針や針の処理などを家族へ指導し、依頼する場合もあるんだそうです。
医療者と家族が一丸となって、患者さんを支えているんですね。
患者さんの身体面・精神面の観察はしっかりしないとね!
家族の負担も多いけど、家族へのフォローは何をするの?
ご家族への精神的・身体的な観察やフォローも必要ですね。
家族へは、医療従事者に相談しやすい環境を整えます。
不安はたくさんあるはずですからね。
心配事や不安があれば、すぐに相談できる環境にして、素早く問題を解決できれば1番いいですね。
そして、患者さんが亡くなった後の、死後の援助(グリーフケア)も大切な役割です。
患者さんのために、全力で介護をしてきた家族は、患者さんが亡くなったら、喪失感を感じますし、燃え尽き症候群のような状態になる可能性もあります。
チームの連携は?
在宅医療では、医師・訪問看護師・訪問介護士・介護支援相談員・ケアマネージャーなどの多くの職種が連携をとって、患者さんを支えています。
定期的にカンファレンスを開催し、方向性の確認や患者さん・家族の意思の確認などを行います。
それぞれの専門分野を活かして、患者さんが過ごしやすいよう関わります。
この中で、看護師は、他のスタッフ同士が情報共有できるよう、連携できるようにアプローチする必要もあるようです。
病院でも同じですね。
多職種の中で、看護師が中心となって、患者さんを支援する。
すごく、難しくて、大変な役割ですが、患者さんを1番いい形でお見送りするために、必要な存在ですね。
日本は、2025年問題という問題を抱えています。
2025年問題までに働き方を決めるべき?看護師は今後どうなる?
超高齢化社会になって、在宅医療を発展させようとしているのです。
ということは、在宅での看取りや療養を行う機会が増えると考えられます。
その時のために、知識として、在宅での看取りについて知っておくといいと思いますよ。
まとめ
在宅での看取りは、患者さんが1番患者さんらしく過ごせる場所で過ごせることがメリットです。
その分、家族への負担が大きくなります。
その負担を軽減するためにも、医療従事者としての介入が必須です。
今後、在宅での看取り・療養が増えてくるでしょう。
その時も、看護師として、患者さんを支えられる存在でいたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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