看護師のyukinoです。
入院患者さんの対応を日々していると思いますが、家族さんの理解があいまいなことってありますよね。
もう食べられる状態じゃない患者さんに、「もっと食べさせて!ちゃんとして!」など、現状を理解できていない家族さんを見かけることがあります。
そんな、家族さんの気持ちと、看護師としてどう対応すべきなのかをお伝えしていこうと思います。
無理な注文をする家族ってどういう心理状態?
世の中には、いろんな人がいます。
私自身、看護師をしていて、「うわ~。」と思うような患者さんやご家族を見てきました。
ただ、真剣・熱心に患者さんのことを想って、関わるご家族の方が多いと思います。
しかし、クセの強い人は、記憶に残りやすいんですよね。
私が出会った、ちょっとクセの強い患者さんのご家族についてお伝えします。
クセの強い家族さん1
脳梗塞により、全身まひで寝たきり、全介助の70代の男性が入院していました。
奥さんは、毎日朝から夕方まで面会に来て、背中を掻いたり、うちわであおいだり、身の回りのことをしてくれます。
結構頻コールな方なので、奥さんの存在はありがたかったのは事実です。
しかし、おむつ交換や経管流動などは一切手を出しません。
ベテランスタッフがおむつ交換に伺うと、サッとベッドサイドを離れ、新人が訪室すると、ずっと、じいーっと見ています。
新人が少しでも手順を間違えると、手は出さないけど、「違う!そんなやり方はダメ!なんできちっとできないんでしょうね!○○さんを呼んできてちょうだい。」と、きつく指摘するんです。
そして、他のスタッフへすぐにクレームを入れます。
こんな感じで、手は出さないけど、口だけ出す系のご家族っていますよね。
内心、「文句言うなら、自分でやってよ…」って思ってしまいます。
もちろん、ご家族への指導は何度も促したり、話に行っているんですよ。
しかし、奥さんが介助を強く拒否し、逆切れし、指導できないままでした。
このケースの、家族さんはどういう考えなのでしょうか?
それは、奥さん自身の考えとして、
・自宅で、老々介護なんて絶対にできない。入院していたい。
・毎日介助を見ているから知識はある(その患者さん限定の手技)。妻の知っている手順通りにしない=わかっていない、ダメな看護師だ。
という考えがあったのだと思います。
実際に上2つは、奥さんが別の患者家族へ話しているのを、たまたま私が聞いてしまったので確実です。
確かに、老々介護は大変ですし、長年連れ添った夫であっても、糞尿の始末はしたくないのかもしれませんね。
主な介護者となることで、家族自身の自由が制限されてしまいます。
ご家族の気持ちや意思の確認を、しっかりとしていく必要がありますね。
結局、この患者さんは自宅退院は不可能ということで、施設への入所が決定し、退院していきました。
が、奥さんは最後まで文句を言って去っていきました…。
クセの強い家族2
患者さんは女性で認知症があり、5分前のことを覚えていられないような方でした。
普段は、穏やかでおとなしい患者さんですが、息子さんが来たら「いやな事ばかりされる。ご飯ももらっていない。おむつも変えてくれない。」などと涙を流しながら、息子さんへ訴えます。
すると息子さんは、患者さんの言うことを信じ、ナースステーションに怒鳴り込みです。
「母はこんなことを言ってるが、どういうことだ!何を考えているんだ!」
まさにブーメラン!
ご家族へ「何を考えているんですか?」と言いそうになりました。
ご家族からしたら、自分の母親が認知症であることを受け入れられないんでしょうね。
母親が言っているから、真実であり、スタッフの意見を聞いてもくれませんでした。
実際に、患者さんに嫌なことはしていませんし、食事も基本全量摂取、トイレ誘導やおむつ交換なども他の患者さん同様、行っていました。
食事量を記載したものを提示しても、納得してもらえず、「こんな病院に入院してられるか!」と言って、退院していかれました。
この息子さんの気持ちを考えてみます。
・病院の看護師は全員母親をいじめる悪いやつ。
・信用が出来ない。
こんな感じでしょうか。
この息子さんは、たまに面会に来て、少し患者さんとお話して帰るので、実際の介護やスタッフがどのように患者さんと関わっているかを見ていません。
自分の母親がどんな状況で、どんな認知かを知らないのです。
ご家族が患者さんを想っているのはとてもよくわかります。
しかし、患者さんの現状をしっかり見てほしいものですね。
他にも、クセの強い患者さん・ご家族はたくさんいますが、今回お伝えした2つのケースについて、看護師としてある関わりをすれば、結果は違うかったかもしれないと思うんです。
では、看護師としてどう関わるべきだったのでしょう。
看護師としてどう対応するべき?
まず、1つ目の老々介護は無理!絶対にしないわよ!というご家族に対してです。
正直、この気持ちもわかります。
70代の夫婦です。
全身が動かず、背中もかけない全介助の夫を24時間、365日、70代の妻が介護できるでしょうか。
厳しいですよね。
サービスを利用してなら、可能かもしれませんが、確実に妻への負担が多いはずです。
もし、あの時、妻の気持ちに寄り添えていたら、介護拒否や逆切れされることは、なかったのではないかと思います。
妻が介護できる=退院できるという構図が頭にあるなら、それを無くしてあげればよかったんです。
「退院」という単語が出るだけで、話を拒否するような奥さんでした。
それだけ、介護が嫌だったんです。
その気持ちを理解し、病院ではなく、入所できる施設があることなど、奥さんにとって有益な情報を早い段階でお伝えするべきでした。
選択肢がないと、ご家族は焦りますからね。
コミュニケーションをとって、患者さん・ご家族の考え、本心を知り、その希望に沿った情報をお伝えすることが、看護師として必要ではないでしょうか。
患者さん、ご家族と話をすることは大切ですね。
業務が忙しくて、コミュニケーションの時間がとりにくいのも事実です。積極的に声をかけていきましょう!
次に、クセの強い息子さんの話ですが、患者さんの現状を理解していない、認知度をわかっていないご家族って多いと思います。
なぜなら、関わっていないからです。
ご家族は、ご家族の生活がありますからね。
このケースの場合は、仕事をしている息子さんでした。
面会時間は約30分で、週に1~2回だけです。
そんな短い時間で、患者さんの現状ってわかると思いますか?
難しいですよね。
ただ、患者さんの現在の状況を知って、スタッフがどのように関わっているかを把握してもらうことで、色々と変わってくると思います。
では、現状を知ってもらうにはどうすればよいのでしょうか?
・来院時に必ず近況報告をするために話しかける。
・微熱や小さな表皮剥離など、重大ではない情報でも、電話連絡をする。
などがいいでしょう。
というのも、これは以前勤務していた老健で、実際にしていたことなんです。
面会に来た方には、絶対にスタッフが話しかけに行き、近況報告をする。
小さな内出血を発見した時も、すぐに電話し、経過も報告する。
37度台でも電話する。
正直、初めは、「家族にめっちゃ電話するやん!」って思いました。
しかし、この近況報告って「患者さんを全身隅々観察していますよ」「手を抜かずお世話していますよ」というアピールでもあるんですよね。
しかも、こういうアピールをすることで、家族が患者さんに関心が向き、面会回数が増えたりします。
面会回数が増えると、スタッフが患者さんや別の患者さんにどの様に関わっているかを見る機会が増えます。
そうすることで、スタッフを理解してくれやすくなりますし、信頼してくれるきっかけになるんです。
毎日忙しく仕事をしている看護師には、家族へ電話連絡する時間も惜しいのは分かります。
ただ、なかなか面会に来ない家族へのアプローチとして、患者さんの小さな変化を連絡することはかなり有効なので、退院支援や受け持ちとの信頼関係構築のための手段として活用してみてください。
まとめ
現状が理解できていない患者さんのご家族って意外と多かったりします。
その理解を促すために、看護師として、患者さんの現状を伝える必要があります。
来院時でもいいし、電話でもいいし。
しかし、どんなに話をしても、説明をしても理解できない人も存在します。
看護師として、できることをしていきたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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