看護師のyukinoです。
私たち看護師は、毎日患者さんと関わっています。
楽しくお話しできるときもあれば、厳しい状況の時もあります。
私自身の絶対に忘れられない、患者さんとの関わりについてお伝えしていきます。
看護師1年目の後悔
私がまだ、患者さんを4人くらい受け持てるようになった新人のころです。
脊髄損傷、皮膚がんを患っている患者さんが入院していました。寝たきりで、食事介助が必要な方でした。お話は声がかすれていて、聞き取りにくかったです。
皮膚がんのため、両下肢は10cm大の穴が5~6つあって、毎日洗浄と軟膏処置をしていました。
その患者さんは坂野さん(仮)といいました。
「さかのさん。今から処置しますね。」
「もう少し食べないと傷治らないですよ。さかのさん。」
と、声掛けをしながら処置や食事介助をしていました。
ある日、坂野さんがかすれた声で「はんの!」と3回ほど言いました。しかし、何のことがわからず、私が反応に困っていると、坂野さんはすごく悲しそうな顔をして目を閉じてしまいました。
数日「はんの」の意味を考えたのですが、わかりませんでした。
しばらくして、坂野さんの様態が悪くなり、亡くなりました。
私が看護師になって初めて看取った患者さんでした。
坂野さんは身寄りがなかったため、病院でたった一人でした。寂しくないように、最期が一人にならないように、看護師が入れ替わり付き添いました。
下顎呼吸、消えないチアノーゼ、心電図モニター、散大した瞳孔、脈が弱くなる、血圧が測れなくなるなど、人の死の前に訪れる体の変化や観察点について学ばせていただきました。
そして、死後の処置もさせていただき、たくさん声もかけました。
主治医に死亡診断書を書いてもらっているとき、医師が「あっ!」と言いました。
何だろうと見に行くと、私たちがずっと「さかのさん」と呼んでいた「坂野」の読み方は、本当は「ばんの」だったことに主治医が気付いたのです。
そこで、私は坂野さんが生前「はんの!」と言っていたのを思い出しました。
あれは、「私はさかのではなくて、ばんのだ!」と私に必死に伝えてくださっていたのだと、気づきました。
その瞬間ものすごく後悔しました。
名前の読み仮名はカルテやパソコン、診察券などに書いてあります。
私たちの思い込みで、ずっと名前を間違えて呼んでいたんです。
しかも、私に必死に訴えてくださっていたのに、気づけなかったことが、本当に悲しくて、悔しくて、阪野さんに申し訳なかった。謝りたいのにもういないんです。
それからは、名前の読み方は絶対に間違えないように何度も確認しています。
名前を絶対に間違えない
坂野さんのことがあってから、当たり前のことですが、絶対に人の名前を間違えないよう、カルテで確認したり、本人にも直接聞くようにしています。
山田と書いても、やまださんかもしれないし、さんださんかもしれないし、やまたさんかもしれません。
名前って自分が生まれてからずっと呼ばれてくるものですよね。
とても大切なものです。
みなさんも間違えないように、気を付けてくださいね。
私のように一生後悔することがないように…
まとめ
私の新人の頃の後悔について、書いてみました。
名前を間違えられていた坂野さんはもういません。謝ることもできません。
患者さんに「ありがとう」と言ってもらえてうれしくなることもあるけど、看護師の関わりや声掛けで悲しくなる人もいます。
自分の発言には注意する必要があります。
皆さんも注意してください。
コメント
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