身体拘束ってなぜするの?しないためにはどうすればいいの?

看護学生向け記事

看護師のyukinoです。

病院で「身体拘束」をされている患者さんを見たことがありますか?

私は学生のころに初めて目にして、とてもショックだったことを覚えています。

身体拘束はなぜ行われているのでしょうか?しないためにはどのようにしていく必要があるのでしょうか?

身体抑制について、お伝えしていきたいと思います。

医療現場で身体抑制はなぜ必要?

まず、身体抑制ってどのようなものか、ご存知ですか?

字の通り、患者さんの体の動きを制限するものになります。

具体的には、抑制帯(ベッド柵や車いすと患者さんの手足や体を縛るもの)、離床センサー・マット(患者さんが起き上ったり、ベッドから立ち上がるとナースコールがなるもの)、ミトン(手袋のようなもので手や指の自由を制限するもの)、4点柵(ベッドを柵で囲うことで患者さんがベッドから出られないようにするもの)などがあります。

抑制帯、離床センサー、ミトン、4点柵などで、患者さんの自由を奪うなんてひどい!と思いますよね。

患者さんからしても、辛いものです。

体の調子が悪くて、手術をしたり、入院してるのに、体の自由まで奪われたら地獄ですよね。

では、なぜこのような身体拘束・抑制が行われるのか、考えてみてください。

例題いきますね。

80歳の認知症のある女性。足の骨を骨折して手術し入院しています。

足の骨がくっつくまでは、絶対安静(折れた足を動かしてはいけない)です。

しかし女性は、認知症があるので、骨折したことを忘れて歩き出します。

足の骨が折れているのに、歩き出すんです。いつも通り歩けるでしょうか?

無理ですよね。痛みもあるだろうし、筋力も落ちていますからね。

この患者さんに、入院中安静に過ごしてもらうためにはどうすればいいと思いますか?

1番いいのは、24時間ずっと誰かが側で見守ることだと思います。

そうすれば、患者さんがトイレに行きたかったり、何かしたいときにすぐに介助できますからね。

しかし、今の病院の現状では不可能なことです。

なぜなら、看護師が昼間に受け持つ患者さんの数は、一人ではないからです。

病院によると思いますが、4~10人くらいを受け持ち、それぞれの患者さんの状態の観察や処置などを行っています。

夜間になると、看護師の数はもっと少なくなります。

もちろん、どの患者さんのことも見てますし、お話もします。

ただ、ずっと同じ患者さんのベッドサイドにいて、ずっと見守りをするのは無理ってことです。

そこで、患者さんの安静を保ち、治療できるように身体抑制をするのです。

もちろん、ご家族へ身体抑制が必要なことを説明し、相談して同意を得てからでないとしてはいけないことだと思います。

先ほどの例題のおばあちゃんだったら、ベッドから立ち上がるのを防ぎたいですよね。

なので、ベッドを柵で囲ってしまうか、ベッドから起き上がったらセンサーが反応し、看護師が介助に向かえるように、離床センサーを使用する方法をとることになります。

他にも、ご飯が食べられない患者さんがいたら、点滴をする場合があります。

点滴って痛いし、邪魔ですよね。

だから、抜いちゃう患者さんがいるんですよ。

点滴の針を抜くってことは、感染の危険があるし、また針を刺すという痛い思いをするのは患者さんです。

嫌な思いをするのは少ない回数の方がいいですよね。

だから、ミトンや抑制帯を使用して、点滴の針を抜かないようにするんです。

事象はまだまだありますよ。

気管切開し、のどにチューブを挿入している患者さんもいます。

のどにチューブですよ。すごい違和感があるだろうし、息苦しさ、痛みやかゆみがあるのかもしれません。

意識がもうろうとしているときや、認知症があれば、この喉のチューブを引っこ抜いちゃう患者さんがいます。

これは、看護師では対処できないんです。

医師に連絡し、処置をしてもらわなければいけません。

感染や皮膚の損傷、呼吸が出来なくなる危険もあります。

なので、のどのチューブに手が届かないように、抑制帯を使用する場合があります。

今、書いている内容は、私が実際に見たことがある現場の様子です。

もっといっぱいあります。書ききれないくらいです。

気を付けていても、こんなことが起こっているのです。

では、できるだけ身体抑制をしないためにはどうしていけばいいのでしょうか。

身体抑制しないためにはどうすればいい?

医療従事者は身体抑制をしたくて、行っているわけではないんです。

もし、患者さんに悪意をもって、治療とは関係なしに無意味な身体抑制をしているなら、それは虐待に値すると思います。

しかし、実際の現場では、抑制をしたくないけど、安全に治療するために仕方なくしています。

そんな中で、身体抑制をしなくてもいいような環境を作ろうと努力もしています。

レクリエーション・アクティビティ

入院中ってどうしても昼間にベッドで過ごす時間が長くなってしまいます。

そうなると、夜もなかなか寝付けないこともあります。

認知症があったら、昼夜逆転したり、ストレスが溜まって不穏になることもあります。

そこで、昼間に食堂などでレクリエーションなどの作業をすると、1日の入院生活にメリハリが出て、夜も眠れるようになります。

また、レクリエーションの間は、身体抑制をすることなく過ごすことができていますよね。

1日のうち、少しでも体の自由を確保する関わりをしているんです。

ご家族への協力を依頼

別に、看護師がずっとそばにいなくても、ご家族が側にいて、何かあれば患者さんの代わりにナースコールを押してくれればいいんです。

ご家族が来ている間は、離床センサーをオフにしたり、ミトンや抑制帯を外して過ごしてもらえます。

注意点は、ご家族になぜ身体抑制をしているのか、介助することでどんなリスクがあるのかについて、きちんと説明し理解してもらう必要があります。

ただ、ご家族にもお仕事や用事があるのは理解しているので、何が何でも付き添ってほしいと言っているわけではありません。

認知症の方は、ご家族が側にいるってだけで落ち着いて過ごせることがありますし、ご家族も患者さんの現状を把握でき、退院後のイメージが出来るので、メリットが多いんですよね。

スタッフの人数を増やす

看護師っていつもバタバタしています。

それは、やることが多いのに、看護師が少ないから!

患者さんの命を守れ、安全を守れ、点滴して、採血して、傷の処置して、患者さんを転倒させるな、抜針させるな、記録をかけ、その他の業務もいっぱいやれ!

すべて、必要なことってわかっていますし、リスクについてめっちゃ考えて行動しているんです。

しかし、事故が起きる時は起きます。

スタッフの人数が多ければ、防げた事故もあるかもしれません。

定期的にカンファレンスで話し合う

患者さんの病状は毎日変わります。

骨折して足を動かしてはいけないおばあちゃんも、骨がくっつけば動いてOKですもんね。

食事量が少なくて点滴をしていた患者さんが、ご飯を食べだして点滴が不要になったら、ミトンも抑制帯も不要です。

なので、定期的に患者さんの状況と、抑制が適切か不適切かスタッフ間で話し合う場が必要ですよね。

私の以前勤めていた病棟では、絶対に週1回話し合いをしていました。

学生時代行った病棟では、毎日確認を行っていました。

このように、病棟でも、身体抑制をしなくていいような取り組みを行っているんです。

まとめ

患者さんの身体拘束・抑制についてお伝えしました。

本音はしたくないんです。

でも、しないと安全に治療できない場合があるということを知っていただきたいです。

医療従事者ではなく、一般の方の意見とかも聞けたら、もっといい対策が見えてくるかもしれないです。

よければ、コメントお願いします!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

コメント

  1. […] 身体抑制・拘束についての気になったら、下記の記事をチェックしてみてください。 身体拘束ってなぜするの?しないためにはどうすればいいの? […]

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