看護師のyukinoです。
看護師として働いていたら、誰もが経験する「患者さんの看取り」。
私は、病院での看取りしか知らない状態で、老健で勤務し、老健での看取りを知りました。
病院と老健では、看取りに違いがあったので、お伝えしていこうと思います。
病院と老健の看取りの違い
病院でも老健でも、一人の人が亡くなるということは、とても悲しいことです。
しかし、看取りって、悲しむだけではなく、患者さんが患者さんらしく、ご家族が思い残すことがないように、医療者として関わっていきたいですよね。
病院と老健では設備や物品などの違いがある中で、どの様な看取りが行われているのか、私の経験をもとにお伝えしていきます。
病院での看取り
病院では、血圧が下がってきたり、意識レベルが下がってきたら、モニター管理をすると思います。
ナースステーション内にいても、変化があった場合にすぐに気付けるようになっていますし、多くのスタッフでモニターをチェックできるのがいい点です。
また、ご家族の希望によって、薬で血圧を維持することがありますよね。
意識レベルが下がり、経口摂取が出来なくなった時は、24時間の点滴で栄養補給することになります。
病院に入院している以上、何か治療をしないといけないのは分かっているのですが、動けなくなった患者さんの体に、針を刺すのは複雑な心境でした。
それに、患者さんを観察してはいますが、モニターばかりを見てしまっていたような気がします。
患者さんが亡くなってからは、エンゼルケアをしますが、エンゼルケアの方法も近年では大きく変わってきていますよね。
私が新人のころは、エンゼルケアキットというものがあって、キット内にあるものを使用し、鼻腔と肛門に薬液を注入し、体液が出てこないような処置をしていました。
しかし、最近では、体液が出ないようにする処置をしないところも増えてきているようです。
もっと昔には、看護師が胃ろうのチューブを抜き、傷口を縫合していたそうですよ。
その他の死後の処置として、医療器具を外した後の手当てや、治療でできた傷の手当て、清拭、お着替え、死化粧があります。
私の印象として、亡くなった患者さんに「頑張ったね」という気持ちを込めて、エンゼルケアしますが、忙しい業務の中でなんだか淡々とケアした感じがありました。
病院だと、医療が中心になってしまうことが多いです。
患者さんらしく見送るって難しいですよね。
老健での看取り
私が勤務していた老健は、入所者さんは長期に渡り、その施設を利用している方が多かったです。
なので、利用者さん自身をスタッフ全員がよく理解していたし、ご家族との関係も深いものになっていました。
まず1つ目の違いとして、利用者さん・ご家族との関わりの深さ、付き合いの長さがあります。
長期間、関わりがあると、本人やご家族の意向なども、施設側は把握することが出来ました。
2つ目の違いとして、施設にはモニターがなかったのです。
初めは戸惑いました。「何を見て判断すればいいんだろう!?」って思ったんですが、自分の目で見て、手で触れて判断すればいいんです。
この時、機械に頼りすぎていた自分に気が付いたんです。
施設では、自分の五感を頼りに、しっかり観察するしかないのです。
ただ、意識レベルが下がってきたような状況だと、看護師・介護士全員で、何度も入れ代わり立ち代わり、部屋を訪れ、スタッフ全員で観察するようになります。
たくさんのスタッフが、その利用者さんの部屋に集まるので、ご家族と元気なころの話や施設での姿などをお話しする時間もあり、とても温かい空気になります。
利用者さんの、「生きた時間」を感じられる、とてもいい時間でした。
3つ目の違いとして、点滴は基本しないで、最期まで経口摂取です。
人って、経口摂取が出来なくなったら、あっという間に亡くなってしまうことを知りました。
本当にあっという間です。
逆に、少しでも食べられる人の命は、強いです。
スタッフも、少しでもカロリーを摂取してほしくて、色々と工夫します。
印象的だったのは、メイバランスという高カロリーのジュースを氷にして、食べられるときに、口にしてもらっていたことです。
冷たいものや甘いものって、食欲がなくても、食べられる時があますよね?
利用者さんに無理のない範囲で、食べられるものを工夫して提供していたことが、とても印象的でした。
当たり前な事なんですが、食事、栄養、カロリーって生きるのに、本当に大切であることを改めて知ることが出来ました。
4つ目は、エンゼルケアですね。
施設によっても違いはあると思いますが、昔方式の脱脂綿を鼻腔、口腔、肛門に入れます。
点滴などの医療処置を行わないので、皮膚に傷はなく、とてもキレイなお体でした。
また、経口摂取が出来ていない状態での看取りなので、体液が出てくることもなかったです。
人が自然に亡くなった姿、キレイな姿だったのが、印象的でした。
あと、ご家族に、服を持ってきていただくんですが、お着物を持ってこられた方がいました。
生前はいつもお着物を着て過ごしていたということで、着付けを先輩と一緒にさせていただきました。
やっぱり、着るものによって、お顔も違ってきますね。
とても、お着物が似合っていて、私自身、いい経験をさせていただいたと思います。
施設は在宅での看取りに近い感じですね。
機械がない分、その人を看ることが出来そうです。
看取りの際、看護師としてできることは?
私自身、病院での看取りよりも、施設での看取りの方が好きなんです。
人っていつかは必ず死んでしまいますよね。
「少しでも長く生きていたい・生きていてほしい」という気持ちはわかります。
早く死んだ方がいい人なんていないです。
しかし、意識がなくなっても点滴で水分と栄養を入れたり、無理やり薬で血圧をあげることって、患者さん本人はしんどくないのかな?って考えてしまいます。
点滴の針を刺しても、「痛い」とすらいえない状態って…
それなら、私は、最期まで経口摂取し、自然な姿で看取りたいし、自分自身も死ぬときは自然に死にたいんですよね。
病院、施設では看取り方に違いがありました。
ただ、どちらの看取りも、正しいものだと思います。
その中で、看護師としてどのように、患者さんやご家族に関わっていきますか?
モニターを見るだけではなく、訪室回数を増やし、ご家族と元気な時の話をすることって、患者さんを知ることが出来て、とてもいいことだと思います。
話せなくなった患者さんは、どんな苦痛を感じているのか、どうすれば安楽になるのかをスタッフみんなで考え、ケア出来ればいい看取りが出来そうですね。
そして、患者さんが話せるうちに、最期はどうしたいのか、何か食べたいものはないか、会いたい人はいないかなどの情報を聞いておくことも大切かもしれませんね。
看護師として、患者さんが患者さんらしく、最期を迎えられるように、普段からコミュニケーションをとっておきたいですね。
まとめ
病院と老健での看取りの違いについてお伝えしました。
簡単に言うと、病院は最先端・ハイテクな感じで、老健は在宅・昔ながらってイメージですね。
どちらも、看護師として、患者さんとの関わりを大切にして、普段からコミュニケーションをとっておきたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント
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