看護師のyukinoです。
年齢を重ねるにつれて、身体機能は低下していきます。
嚥下機能も低下し、誤嚥性肺炎になる患者さんも少なくありません。
誤嚥性肺炎になったら、抗菌薬での治療や補液を行い、絶食となる場合が多いと思います。
しかし、絶食することでのデメリットも多く存在します。
そこで、誤嚥性肺炎のときの絶食についてお話していきます。
誤嚥性肺炎の原因って?
食べ物や唾液は通常は、口から食道を通っていきますよね。
しかし、誤って気管へ入ってしまうことがあります。
これを誤嚥と言いますね。
この、食べ物や唾液を誤嚥した際に、細菌が気管内に侵入することで、誤嚥性肺炎を発症します。
私は学生や新人のころ、誤嚥性肺炎は食べ物が気管・肺に入り込んで、食べ物が腐って(笑)肺が炎症を起こしていると思っていました。
肺に入った食べ物はどうやったら出てくるのか?
痰となって出てきてるのか?
と本気で悩んでいました。
違いますよね(笑)
もう一度言いますが、誤嚥性肺炎は、唾液や食べ物と一緒に気管に侵入した細菌が原因です。
食べ物は咳嗽で、気管には入らないようになっていますよね。
また、誤嚥性肺炎の多くは食事の誤嚥で発症するのではなくて、食事以外の時の誤嚥によって発症しているのをご存知でしたか?
口腔内の常在菌である嫌気性菌や肺炎球菌が原因菌となっている場合が多いようです。
なので、肺炎球菌ワクチンの接種を呼び掛けているんですね。
では次に、誤嚥性肺炎の治療はどのようなものでしょうか。
誤嚥性肺炎の治療
私が勤めていた病院では、誤嚥性肺炎による発熱が発生した場合、抗菌薬・補液のための点滴と絶食が医師から指示されました。
多くの病院が、同じような対応をするのではないでしょうか。
しかし、絶食の指示が出た後、解熱・状態改善した患者さんが食事を再開するときは、かなり慎重になります。
嚥下造影検査を行い、嚥下機能に重大な問題がない場合は、食事が再開されます。
問題があった場合は、STによるリハビリを行いつつ、食事以外での栄養摂取方法の検討が行われます。
経鼻経管栄養や胃ろうなどですね。
しかし、経鼻経管栄養にも、リスクがあります。
先ほどお伝えした通り、非食事中の誤嚥による誤嚥性肺炎が多いのに、それを防ぐことはできていません。
ということは、結局誤嚥性肺炎を繰り替えすことになりそうです。
また、経鼻経管栄養に使用するチューブには、常に分泌物が付着しており、控えめに言ってもキレイとは言えません。
むしろ汚い。
誤嚥性肺炎を誘発させているのでは?と思ってしまうレベルです。
チューブから栄養を取るには、仕方のないことなんですけどね…。
そして、経鼻経管で栄養管理することで、口から食べ物を摂取しなくなります。
そうすると、口腔内の自浄作用が低下し、口腔内に多くの菌が発生します。
実際に、経鼻経管栄養の患者さんの口腔内って、口腔ケアを1日3回行っていても、乾燥していて、口腔内汚染が見られますよね。
経管栄養は治療としてよく選択されますが、様々なリスクがあることを看護師として理解しておく必要がありますね。
絶食するデメリット
誤嚥性肺炎患者さんが、絶食することで、様々なデメリットが考えられます。
・生活リズムが乱れる
・口腔内汚染
などがあります。
食べる機会がなくなる
絶食と言えば、何も食べてはいけない状態ですから、食べる機会は無くなってしまいます。
そもそも、誤嚥性肺炎になる患者さんの多くは、高齢で嚥下機能の低下がみられる患者さんが多いわけですよね。
なのに、食べる機会がなくなるということはどういうことでしょうか。
それは、さらに嚥下機能の低下を招く可能性が高いということですよね。
だって、嚥下に使っていた筋肉を使わなくなりますもんね。
絶食は嚥下機能を悪化させる要因と言えそうです。
実際に、誤嚥性肺炎患者さんの絶食をしない・期間を短くすることで、重度摂食嚥下障害になる確率を下げられるという報告もあるそうです。
生活リズムが乱れる
人は、1日の生活リズムがあります。
リズムは、人によって多少違いますが、食事をとることで覚醒したり、腸が活動したり、日中の生活リズムが整いやすいと言われていますよね。
朝起きて、顔を洗って、歯を磨いて、食事をとる。
この、顔を洗って、歯を磨くという行為は、食事をとるための準備行動のようなものかもしれません。
食事がなければ、朝起きないし、顔も歯も洗わなくなりそうです。
私なら、「食事がないならまだ寝ておこう」と思います。
食事がないということは、離床の機会を減らし、寝たきり患者さんを増やすことにもつながるかもしれません。
また、高齢者は生活リズムが崩れることで、せん妄状態にになるリスクも高まります。
せん妄治療のために、鎮静薬などが処方されてしまったら…
なんだか悪循環のように感じてしまいます。
口腔内汚染
先ほどもお伝えしましたが、食事をとらない状態ということは、口腔内の自浄作用の効果が低下してしまいます。
唾液の分泌量は低下し、口腔内の最近の量は増加します。
口腔内の細菌が増加するということは、誤嚥性肺炎のリスクも増加させることになりますよね。
誤嚥性肺炎での絶食って良くないことが多い気がしてきました。
看護師としてどうすればいい?
看護師として、医師の指示通り行動するしかないのが現状です。
私自身も、病院で勤務しているときは、誤嚥性肺炎になったら絶食するということに、疑問すら感じませんでした。
しかし、老健での経験を通して、ちょっと考え方が変わりました。
その時のお話をしたいと思います。
老健での話
老健で勤務していた時、嚥下機能が低下している高齢の利用者さんはたくさんいました。
看護師として老健で働くと?仕事内容などお伝えします。
看護師の老健の夜勤内容は?仮眠は取れる?
特に誤嚥のリスクが高い方の食事介助を、看護師が行うことが多かったです。
ある利用者さんは、誤嚥性肺炎を繰り返している方で、2か月に1回ほどのペースで、発熱し、肺雑音の出現、喀痰の増加などが見られました。
病院であれば、即食事ストップになるところですが、その施設では食事が継続されます。
医師から指示される治療は、抗菌薬を内服するだけです。
看護師としての対応は、
食事の直前に、吸引し、食事介助を行い、食べれるところまで介助する。
途中でゴロゴロ聞こえてきたら、食事をやめて、吸引する。
定期的な水分摂取の介助。
喀痰吸引。
呼吸状態、全身状態の観察。
このような対応をしていました。
結論を言うと、誤嚥性肺炎になって、食事を継続しても、状態は改善しました。
発熱・痰の増加がみられるときは、食事量は低下しますが、状態が改善してくると食事は全量摂取できるようになります。
食欲に関しては、私たちが風邪をひいたときのような感じですね。
正直、食事を摂取してもしてなくても、誤嚥性肺炎になるのなら、利用者さんや患者さんには、食事を継続し人間らしい生活をしてもらいたいと思いました。
また、食事をしていても、症状の改善があるのなら、絶食する意味って何だろうという想いになりました。
みなさんは絶食する意味って何だと思いますか?
まとめ
誤嚥性肺炎になったら、絶食することが当たり前になっていますが、食事を継続していても、症状は改善します。
看護師として、絶食することの悪影響についても、理解をしておく必要がありそうです。
患者さんが、人としての生活をするためには、食事は欠かせないものだと私は考えています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント