看護師のyukinoです。
最近、厚生労働省が作成した人生会議のポスターが話題になりました。
評価は様々ですが、私はこのテーマが話題になったことは、悪いことではないと思います。
人生会議とはどういうものか、何をきっかけにして話したらいいのか、看護師としてどうすべきかなどについて、お伝えしていきます。
人生会議とは?
人生会議とは、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)のことで、一般の人がイメージしやすいように、厚生労働省がつけた名称のことです。
確かに、人生会議と言われたら、イメージしやすいですよね。
ではこの、ACPとは何なのでしょう?
それは、万が一の時のために、元気な時から、どのような医療やケアを望んでいるのかを、自分自身で考えたり、あなたの家族や信頼する人たちと共に話し合うことです。
これって大切なことですよね。
看護師をしている立場としては、新人のころから色々な状態の患者さんと関わってきて、自分自身だったら…と日ごろから考えていました。
また、自分の両親や夫の両親にも、どの様な治療をしたいかを、確認しています。
病気になった時のことって、あまり想像したくないかもしれませんが、人間は100%死にますからね。
どのような死を迎えるかは、誰にもわかりませんが、緊急事態の時の判断材料として、身近な人にどの様な治療をしたいかを伝えておくことは本当に大切なことだと思います。
では、どのようにして、万が一の時の話や病気になった時の話を話題に出せばいいのでしょうか?
何をきっかけにして話せばいい?
この話題にもっていくのって、ちょっと難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
なぜなら、病気や死をイメージするということは、マイナスなイメージがあるからです。
現在60歳の元気な方に、「あなたが病気になったり、死にそうな時、どうしたい?」といきなり質問しても、「…え~。今元気だし、ちょっと不謹慎な内容じゃない?」となってしまいます。
では、どのように、人生会議をすればいいのか?
私の実体験を、お話しします。
私の、両親や義両親はまだまだ元気いっぱいで、人生を謳歌しています。
まず、両親へは、「寝たきりで、意思疎通はできないけど、胃ろうで栄養を摂取して生きている患者さんがいる」という話をしました。
この時の反応で、色々とわかることがあります。
それは、どういう状態を生きていると考えているか、ということや、会話や食事についての考え方です。
父からの反応は、「僕は食べることが好きだから、胃ろうはあまり望まないかな。あと、延命治療はしないでほしい。死ぬときは、苦しまずに死にたい。」というものでした。
現在父は、祖母の介護をしており、介護の大変さや医療度の高いケアのしんどさを知っているから、残された者の負担も考えての、上記の発言のようでした。
母も同様で、「延命治療はいらない。胃ろうしてまで生きたくない。介護が必要になったら、老人ホームに入るの。そこで友達を作りたいな~。」と言っていました。
夫の両親との人生会議は、親戚が病気になったことがきっかけでした。
親戚が脳梗塞になり、意識不明で気管切開し、人工呼吸管理となった姿を見て、義母が「私には絶対に延命治療はしないでほしい。お話ししたり、口からご飯を食べる事が出来ない状態は、生きているのか疑問に感じてしまう。ぽっくりいけたらいいな~」と話してくれました。
義父はあまり話さないひとですが、仕事命、自宅が大好きな方なので、「最期は自宅で過ごしたい。」と話しています。
実際は、もっと深い話をしていますが、だいたいこんな内容で両親・義両親の気持ちや考えについて聞き取っています。
命のとらえ方、考え方は、人それぞれ違います
患者さんがどんな状態でも、心臓が動いていれば、生きていると安心する家族もいます。
義母のように、会話や食事が出来ることが、生きていること、と考える方もいます。
どんな考えも、間違いではないし、正解だと思います。
だからこそ、自分自身の死生観や万が一の時の治療について、話し合っておくことは大切なんですよね。
人生会議をするきっかけとして、厚生労働省が発表した、ちょっと話題になったポスターをきっかけにするのもいいでしょう。
他には、
・「延命治療・胃ろうって知ってる?」と、さりげなく情報提供する。
・厚労省のポスター
・介護の話
・働けなくなった時の話
など、もしもの話から、誘導することが出来ると思います。
親族が集まる、お正月・お盆・GWなどで、話題に出すのもいいかもしれませんね。
看護師として、患者さんの気持ちを聞くには?
病気を診断されて、入院中の患者さんでも、自分の考えがまとまっていなかったり、家族に本当の考えや気持ちを伝えていない方も多くいると思います。
そこで、病院にいる看護師として、病気を受け入れられていない方や治療を迷っている方の気持ちを傾聴する必要があります。
悩んでいる患者さんが、どうすべきか、どうしたいかを判断できる情報を、少しずつお伝えしていくことが大切ではないでしょうか。
以前、30代の患者さんが入院していました。
彼は、ちょっと体調が悪いな~くらいの気持ちで受診したら、大病が発覚し、即手術、術後不良、人工呼吸器管理となり、状態が落ち着いたので、私の勤務先にリハビリ目的で入院されました。
そもそも、大病発覚からの手術までが早すぎて、病気の受容が出来ていない。
人生のどん底。
というような状況で、初めのうちはスタッフにも物を投げたり、処置を拒否したりと、どう関わればいいかわかりませんでした。
しかし、少しずつ状態がよくなり、自分の状態を理解し、今後どうなっていくのかを少しずつ情報提供することで、表情が明るくなっていきました。
なかでも、親身に話を傾聴し情報提供する看護師や、担当のリハビリスタッフには早い段階で心を開き、治療や退院後の話などができるようになりました。
親身になって、話が出来る存在というのは大きいですよね。
看護師として働いていると、やることが多くて、患者さんとゆっくり時間をとってコミュニケーションをすることは難しいと感じます。
しかし、患者さんの状況に合わせたケア、コミュニケーションを取っていく必要がありますね。
また、病院で看護師という立場であれば、ACPについて話しやすいでしょう。
深い話までできるような、信頼してもらえる看護師がりそうですね。
まとめ
人生会議、ACPについてお伝えしました。
患者さん本人の治療やケア、死生観についての考え方を元気なうちから聞いておくことはとても大切なことです。
病気になった時のことって、具体的に想像しにくいものですが、厚生労働省のポスターが話題となったことをきっかけに、人生会議してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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